蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

働き始めた蟻迷路日記

    日は入社式だった。取締役の伸びた蕎麦みたいな要領を得ないスピーチが立て続けにあり、終わったら昼食があり(美味しかった)、いろいろと眠くなる話が午後は目一杯あったりして、ずっと座りっぱなし、若干多動症の気がある私は定時の17時にはイライラしていた。
    すべての説明が終わって、やぁ〜っと帰れる、と思ったら保険会社が闖入。セールスをするのでアンケートにご協力ください、とタラタラ話し始める。さもアンケートを提出しなければならない、という雰囲気を醸していたし、お帰りの際にご提出くださいなんて言っていたが、アンケートは本来任意のものであるはずだ。私は周囲の状況を無視して、提出せずに帰った。死ねばいい。


    勤務地は渋谷だ。ベリーベリー都会である。でもあまりにも馴染みがないわけではなく、ただ、嫌いな街なのだ。朝落ちてたゲロが帰りにまだある、そんな街なのだ。渋谷はいつ行っても空気がドロドロしていて、汚い水たまりが常にあって(どうして乾かないのかわからない。湧き水なのだろうか?)、人がとにかく多くて、うるさくて、下品で、ほとんどスラムである。流行とは泥の中から生まれるものなのかもしれない。渋谷はもはや怨念的歪な蛇のとぐろさえ感じる。臭くて汚ねぇ街、渋谷。
    家から渋谷まで、諸事情あって1時間半以上かかる。1日で3時間以上を通勤に省くことになるのだ。嫌いな街に毎日時間をかけて通わなければならないのは、これは由々しき事態。これからは電車の中で文章を書くことにしよう。この文章も満員電車の中で書いている。
    知っていたけど、満員電車と本数の少ない鉄道はクソッタレだ。せめて車内で『トムとジェリー』を放映してくれ。なんのための液晶ディスプレイだ。そうすればなんだかハッピーだと思うんだけど!


    朝も早くて気が滅入る。必要以上に早く出なければならないのはなぜなら、急いで駅に並ばないと座席を確保できないからだ。万が一座れなかった場合、1時間半立ちっぱなしになってしまう。そうなれば胃腸の弱い私は脱糞必至。死んだほうがマシだ。

 

    たった1日通勤しただけだけど、もう嫌気がさしている。死んだ方がマシかもしれない。
    ただ、毎日2回、岡本太郎の『明日の神話』を拝めるのは、よろこびだ。

 

 

f:id:arimeiro:20190401185105j:image