松山城に行ってきた。
愛媛県松山市を観光するなら、松山城は欠かせない。ここを行かなかったら時間が余って仕方がないからだ。
松山城は城下の商店街の中に入り口があり、そこからロープウェイ、またはリフトで城山に登山することになる。
私たち家族はリフトを選択した。
「揺れて怖いに決まっているから、リフトにしよう」
そういう理由で母はリフトを選択したのだが、たぶん思考回路が焼き切れているのだろう。
リフトは1人乗りで、ブランコがぶら下がっているみたいに頼りないものだった。
乗車場でリフトは素早く転回し、「早く乗れよ」と言わんばかりに私の膝を押して、座らせる。
生意気なリフトだ。
おそらく、暑さと単調な作業による徒労で疲れているのだろう。 ブラック・リフトである。
楽しそうでしょ。
心許ないでしょ。
特に固定する棒やベルトなどはなく、単に座っているだけなのだ。見てわかるように、椅子は駅のベンチみたいなツルツル滑るやつで、なんかちょっと掴まってないと、怖い。
ものすごく揺れるわけではないけど、まったく揺れないかというとそんなわけはないので、不意にがくんと来たとき、ハッとする。下腹部がひゅんとなる。
ときどき、下山してくる人とリフトですれ違う。
その人たちは、なぜか高確率でソフトクリームを食べている。
リフトに乗りながら大人しくソフトクリームを食べ、景色を見つめ、暑そうに汗を流しているおじいさんやおばさん、お兄さん、なんかみんな可愛くて、ちょっと動物的だった。
ソフトクリームにつられて、この怖いリフトに乗れと言われたのかもしれない。
「リフトに乗ったら、ソフトクリームあげるよ」って。
あるいは、リフトが怖くて泣いてたので、案内のお兄さんにソフトクリームを渡されて恐怖を誤魔化されたのかもしれない。
到着前にソフトクリームがなくなったら大変な騒ぎになるだろう。どっちが先か。
太陽光でソフトクリームがぼたぼたこぼれているし、もしかしたら下に落としてしまうかもしれない。そうなったら大変だ。リフトが止められる可能性もある。
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松山城は、すれ違ったどの人も言っていたのだが、「意外と良かった」。
ちゃんとした城だったし、情緒もあった。展示も過不足なくて疲れなかったし、城の中を急な階段を昇り降りしてウロウロできて楽しかった。
石垣が美しかった。
舐めてると意外に思うだろう。
その辺の観光城と同じくしてはならない。城のある街っていいなぁと思える城である。
帰りもリフトで下山した。
「行きはリフトですごく怖かった。ちょっと泣いちゃったくらいよ。帰りもリフトがいい」母は言った。
やっぱり思考回路がショートしておかしなことになっているのだろう。
ひゅんひゅんする。
この、ひゅんひゅんするのは、一体どの部分がひゅんひゅんしているのだろう?
「ちんちんのあたり」がひゅんひゅんしていることはわかるのだが、ちんちんそのものがひゅんひゅんしているわけではない。
実体のない伝説上の臓器がひゅんひゅんしているのだろうか?「三焦」みたいな。
どうしてひゅんひゅんするのだろうか?
動物はみなひゅんひゅんするのだろうか?
女の子もひゅんひゅんするのだろうか?
女の子がひゅんひゅんする場合、いったいどこの部位でひゅ(以下自粛)
乗り場に、「悪い夢に出てくるタイプ」のダルマがいた。
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そのあと、道後温泉へ行った。
湯を浴びたあと、道後亭という 饂飩屋で饂飩(うどん)を食べた。
たっぷりの薬味を混ぜていただく饂飩は、温泉で温まった体をさらに血の中から温めてくれるようで、その刺激を楽しみながら、さらっと食べられた。饂飩も手打ちとあって喉越しが良い。
でもたぶん、お子さまはこの饂飩食べれないだろうな〜と思う。辛味と苦味があるし、なによりそんじょそこらのお子には、この美味しさはわからないだろう。
そういう点で、私は大人になって良かったと思う。
少なくとも体と感覚だけでも。
あるいはそれは鈍くなった証拠なのかもしれないけど、ある程度鈍い方が嫌なことは少なくて済むのだ。美味しいものも増える。敏感より鈍感の方が、あるいは良いことも多い。
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松山市は漱石の『坊ちゃん』や正岡子規を激推ししているけど、そろそろこの推し方は危ないんじゃないかと思った。
なぜなら、『坊ちゃん』を読んだことのある若者は下手したらクラスに1人もいないだろうし、正岡子規を知っている人は「インテリ」なんて呼ばれている人ばかりだからだ。
はっきり言ってオワコンなのだ。
私のような文学青年だとへぇ〜なんて思って楽しいのだけど、それ以外の人にしたら、なにそれどこの坊ちゃんだい?って具合だろう。
私は好きだけど。
以上、松山からお送りしました。
帰ります。