蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

会社を休んでハンバーガーを食べに行く

連休はのんびり過ごせた。

金曜日に有給休暇を取り、恋人と服を買いに行き、平日しかやっていないハンバーガー屋へ行った。

 

千代田区水道橋にある「アイコウシャ」だ。

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ここのハンバーガーは、最高である。

炭火で焼いたような香ばしさと、粗挽きの「肉肉しさ」を堪能できる食い応えあるバーグに、フレッシュなトマトと玉ねぎの酸味が嬉しい。

バンズはこんがりと表面が焼かれ、指先にパリッとした感触が伝わる。

自家製のポテト・チップスとピクルスが添えてあり、ああ、まずこの見た目だけで想起される「食感」が既に美味しい。

 

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写真だと小さく見えるかもしれないけど、グルメバーガーなりにけっこうボリューミーだ。

 

これをですね、

 

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こうしまして、、、、

 

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こうして、かぶりつくわけです。。。

バンズ、チーズ、肉、トマト、レタス、玉ねぎ……すべてが一体になって仕事をしている最高のチームだ。

その美味しさは「襲い来る」と言えるほどのもので、なにか内に眠っている野生を呼び起こされる。

肉の荒々しい旨さのせいかもしれない。

ハンバーガーはこの肉とそれから「手で食べる」ことにより、内なる野生を刺激されやすい。

止まらなくなり、手休めにポテトをつまみ、ピクルスを齧るとまた旨い。憎いほど美味い。ぜんぜん手休めにならない。

 

たぶん、日本一美味しいな、とおもえる。

有給を取得して平日にわざわざ行くだけの価値があるハンバーガー屋だ。

そういったハンバーガー屋を私と恋人は知っていて、じっさいに休みを取って、大学生以来、かなり久しぶりに行った。

こういうお店を知っているということは人生が豊かな証拠かもしれない。恋人がいなかったら一生知ることはなかっただろう。

それで、月並みだけど、結局のところ恋人と食べるから美味しいのだとおもう。

いやそれにしたってこの店は美味い。

 

 

「付き合いたてのカップルは、このお店に来れないね」恋人は言った。

ハンバーガーは綺麗に食べるのが難しい料理だ。口の周りも汚れるし、食べ方も汚くなる。まさかナイフとフォークでいただくわけにもいかないし。

「そうだね」

だけど、と私はおもう。

たとえ付き合いたてでも、このお店にきて、お互いにあたふたしつつも、口の周りを汚しつつも、ハンバーガーを頬張って、「美味しいね」って笑い合えれば、きっと仲良くやっていけるカップルにもなれるんだろうな。

そうでなくても、あらためてこのお店に来たときに二人の関係が深まっていて、あの頃は汚れるの見せたくなくておしとやかに食べようとしてたけど、今は存分に口を大きく開けて食べれるね、って笑えちゃうのも素敵だな。

ああ、こういう情緒を閉じ込めたいな。

「ねえ、おかしなことを言ってもいいかな」

「なあに?」

「短歌詠んでもいい?」

恋人はポテトをつまみ、こう言った。「さすがに4年以上付き合ってれば馴れるものね」

 

そして私がまともな短歌を詠めたためしはない。