蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

流れる話題の真ん中で

Air Pods proを買ってから毎日が音楽的彩りに満ちていて、運気は上がって宝くじは当たるわ、上司に認められて昇進するわ、日替わりで美女と知り合うわなど良いこと尽くめ、ひじょうに気楽に暮らしているのだけど、買ってからおよそ1ヶ月、今日までで3回洗濯しかけている。

帰宅時にシャツの胸ポケットに入れたまま、脱いだ肌着と一緒に洗濯機に放り込むせいだ。

最近は日課のフィット・ボクシングするときにair podsネットラジオや他の音楽を聴きながらやっているので、そのときに無いと気付いて、洗濯機に走る。

洗濯槽の底に遣る瀬無く転がっているイヤホンのなんと虚しいことだろう。肩身の狭い思いをしてそうだ。ここにいるべきではない、と。いたたまれない。

もしもこれが、フィット・ボクシングをサボってしまったが故にイヤホンを洗濯機に放り込んだことに気付かず、翌朝濯ぎ2回で洗濯してしまったら……想像するとゾッとする。

月夜に釜を抜かれるような油断の仕方だ。何度も繰り返していいものではない。

 

ところでフィット・ボクシングはゲーム中の音楽に合わせてボクシングの動作をする、ある意味で音楽ゲームなのだが(太鼓の達人的な)、先述したとおり、最近は音を全ミュートにしてイヤホンで他のものを聴いているのでゲームとしてのアイデンティティを半分以上失っている。

イヤホンを外せば無音の画面でキャラクターが私に激励し、パンチを繰り出している。

音楽のセンスが許せないのとフィットネスメニューによっては音楽とリズムが合わないのが嫌でミュートにしたが、アイデンティティを失ってもなお声を出して私を励ましアドバイスを下さるキャラクターを見ているとなんだか自分が悪いことをしているようで居心地が悪く、パンチに余計な力が入ってしまう。

余計な力が入ると変に疲れる。

 

余計な力が入るのは、あるいは新しく買ったヨガマットのせいかもしれない。

これまではカーペットの上でフィット・ボクシングをしていたのだが、足裏の摩擦で繊維が野良犬のようにボロボロになってしまったのと、夏になりカーペットを収納したためにフローリングの上で運動せねばならず、それではフィットネスに蹉跌をきたすため、急遽ヨガマットを購入したのだ。

これが、臭い。

石油のにおいがする。

また、意外と滑る。滑るので足指で踏ん張らねばならず、ここで余計な力が入っているのだ。

あまりよろしくない負荷がかかっているのか、ふくらはぎから太腿裏、尻の付け根にかけて熱を持った筋肉痛になっている。良くない気がする。

しかし、ヨガマットがなければフィット・ボクシングはできない。

フィット・ボクシングをやらなければ、イヤホンを洗濯機に放り込んだまま気付かない。

 

すべては繋がっている。

星座のように。海と空のように。