蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

人を支配するには言葉から

Twitter社をイーロン・マスク氏が買収したことにより、社員の半数近くが解雇されたらしい。

同時に新たなサービスの提供や、サービスの停止が日毎のペースで行われ、社員もさることながらユーザーも振り回されているが、Twitter自体の試行錯誤を私はけっこうおもしろく見れている。

とにかくいろいろ試してみて、もっと面白いサービスになったらそれは楽しいじゃないか。

 

ところで、Twitterの「ニュース欄」に出ていたトピックが、TwitterJPの社員による操作によるものだった、という話題も盛り上がっている。

人の手でやっていたんだ、という意外性と、じゃあそれって、担当者の好みで世論操作も可能なのだと、脅威も感じた。

なんか全アカウントのツイート内容から魔法みたいなアルゴリズムでトピックを自動で反映しているのかと思っていたけど、そうでもなかったらしい。(一方でトレンド欄は自動反映のようだ)

でも人間は魔法を使えないので、当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。問題だったのは、それがさも無作為なように見えてしまっていたことだろう。

ニュース欄のトピックには、多くの場合は議論という名の石の投げ合いみたいなトピックが流れてきて、社会問題について「人々の関心を集める」と言えば聞こえはよいけど、結果としては憎悪を煽るだけのものが顕著だった。

もしも自分がトピックを操作する人間だったら、きっと自分は社会問題を人々に知らしめて世間の意識を変える大きな仕事をしているぞ、とでも思っていただろうが、実際にはそんな正義感に溢れた偉大な成果にはなっていなかったわけだ。

そして、一部のニュースサイトは、トピック編集をするTwitterP広報部の担当者の「好みの傾向」を把握して自分たちがうまくバズれるようにしていたらしい。頭が良いし、それは正しい選択だったと言える。利用できるものは利用するべきだ。

大幅解雇されて広報担当もいなくなった結果、憎悪を煽る「社会問題に切り込んだ」ニュースや話題は、最近見かけなくなってきた。

それで全部が良かったとは言えないけれど、少なくとも私がイライラする回数は減った。

 

私たちの意識や考え方は言葉というシステムによって構築されている。

その言葉は広告やニュース、周囲の人や書籍など外部から流れ込んでくる。

発する言葉は、いつの間にか外部から取り入れた情報の影響を受けて自分の中で再構築されたものであり、いまの時代の価値観やこれまでの歴史の思想が反映されていて、私だけじゃなく、人として生きるすべての人が、そういった言葉の世界を生きているのだ。

私だけが考えていると思っていたことも価値観も、たった一人の誰かの「好み」によって表示される広告や記事で形作られているのかもしれない。その人による間接的な「思考の規定」がなされている。

それを怖いと思うか、残念に思うか、悔しいと思うか、嬉しいと思うかは人それぞれだ。

私はこう思う。

人を支配するなら、言葉からだ。