小5くらいのとき、ケーブルテレビのアニマックスで『神様家族』というアニメを放送していた。
神様の息子、神山佐間太郎が神様になるべく人間界で生活をするというギャグハートフルアニメだ。知ってる人はあまりいないだろう。
ライトノベルからアニメ化された作品であり、当時小学五年生の私からすれば、ドラゴンボールとかワンピースとかとはちょっと違う独特の雰囲気を帯びたアニメに見えて、多少ドキドキしながら毎週楽しみにしていたのを覚えている。
なんかちょっと、ほかのアニメとは違うぞ。とそのドキドキは言っていた。
きっと、ラノベが原作のアニメだったからだろう。ノリとか言葉のリズムとか、作画の感じとか、内容も勿論そうだけど、少年漫画的ではなく、ラノベ的だった。
ちょっと小5の私には、そこは少しだけ大人びた世界にも映っていたのだ。
アマプラで配信されないかなぁと懐かしさに飢えてうずうず待っていたのだが、調べてみるとどの配信サービスでもやっていないらしく、なんなら放映当時もBSとかケーブルテレビだけで細々とやっていたアニメらしいことがわかった。
そんなことがあるのかと思ったが、2006年くらいのこういったアニメは案外、そんなものなのかもしれない。今でこそアニメは一般に受容されているけど、15年前くらいはラノベあがりのアニメなんて「オタク」のものだった。
最近、Kindle Unlimitedに加入した。そこに『神様家族』原作の1〜3巻が配信されていたのを見つけた。
懐かしさを覚えたのと、多分もう二度とアニメを見られない寂しさから、普段はラノベを読まないけど、読んでみた。
最初のうちはラノベのノリが合わなくてぎこちなかったけど、次第に慣れてきたし、案外文章がうまくて結構楽しく読める。アニメのことをちょっと思い出したり、こんなシーンあったっけと首を傾げたり、でも段々とアニメには関係なく原作そのものとしてはまり込んでいく。
どこがどう、とは言い難いのだけど、この作品を読んでいると2000年代の空気感とか音楽とかあの夏の暑さが胸に去来して、一言で表すとエモくなっと。
あの頃はもう結構昔のことなんだ。
小学生の頃の自分との距離感はずっと変わらないものだとばかり思っていたけど、少し目を離したあいだに遠くへ行ってしまった。
いや、私が遠くに来てしまったのだ。
そんなことを思いながら。
アニメ化されたのは3巻までだったらしく、年末年始でイッキに読み終わってしまった。
終始ギャグ調で、ちょっとエッチだったり、しょうもなかったりするんだけど、バカだなぁって笑える感じで、それなのにラストは毎回いい話で締めくくってて、でもギャグのテイストが全体に息がかっているからしんみりして終わることもなく、なんかこれもうちょっとした落語みたいだ。
神様の息子たる主人公の成長譚でありながら、その本質は思春期の少年の自立の話だったり、本当の家族とはなにかを問うような話だったりして、なかなか読み応えがある。
読んでてちょっと泣いた。
思い出補正もあるだろうけど、原作として楽しめてよかった。2000年代の空気に浸るためにあの頃の作品を読んでみようかな。