蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

千疋屋のパフェを食べるの段

月に放映のあった、140字小説のドラマの原作使用料が先月(ようやく)入ったので、記念に「いいパフェを食べよう」ということになった。

原作使用料はいいパフェを2人前にコーヒーを付ければちょうどいいくらいの値段であった。相応だと思う。

 

いいパフェ、といえば資生堂パーラー千疋屋(せんびきや)ある。

資生堂パーラーは前にも食べたし、次行くときはコース料理を食べてみたいから、今回は千疋屋がいいと思うの」

彼女がそう言うのならそれが世界で最も正しいことになる。

私たちは銀座の千疋屋へ馳せ参じた。

 

メニューをめくると、国産マンゴーパフェが3000円〜で国産でないものでも2000円〜。

「国産高いなぁ〜……」と眉を寄せる恋人。

たしかに高い。庶民の感覚じゃない。3000円あれば『鬼滅の刃』の単行本を6巻まで買える。6巻といえば柱合会議があったり、修行パートがあったり、無惨様のパワハラ殺戮大回しがあったりと見どころ満載の巻である。ちょうどアニメ一期の終わりのあたりだ。3000円とは、鬼滅の刃のアニメ一期と同じくらいの価格なのだ。たいへんな額である。

だが私は言ってやった。

「是非とも、今日は国産を食べるべきだ」

 

私はメロンのパフェにした。こちらも3000円ほど。目に緑がほしかった。夏だから。

注文して、わりとすぐに、やってきた。牛丼くらいの速度でもって、しかし蝶のように軽やかに舞い降りてきた。

 

f:id:arimeiro:20210619194813j:image

 

歌いたくなるくらい美味しい。

なんなの?ってキレるくらい美味しい。

溢れる果汁と比例する悦び。オアシス。

感想が「美味しい」以外に出てこない。

写真からもわかるだろ、美味しいことが。

 

f:id:arimeiro:20210619195118j:image

 

バニラアイスの部分もすごく甘い。すごく甘いのだが、しつこい甘さじゃない。爽やかで、お淑やかで、しかし情熱的な甘さだ。

一口食べるごとに美味しい。

毎回美味しい。

全身に糖分が染み渡る。

 

f:id:arimeiro:20210619195741j:image

 

あらゆる角度で写真を撮ったのは、あらゆる角度で撮らなければパフェの美味しさが伝わらないと考えたからだ。

私が画家だったらこのパフェはキュビズムで描いたことだろう。すべての角度を網羅しなければ魅力を伝えるのに十全とは言えないだろうから。

 

 

我々はパフェを堪能した。

腹ペコの犬のように綺麗に食べた。

 

「140字小説書いてよかったな〜」とつい口に出た。

最近はまったく書いてないし、書く気もないのだけど、こんな良いものを食べられるなら またちょっと書こうかな、と下心が出てきた。

このような下心があると上手くいかないことはわかってる。

やる時はやる、楽しむためにやる。目標は目標で持って、まずは楽しむこと。分けたほうがいい。

ちゃんと線引きした方がいい。千疋屋なだけに。