祝日明けの金曜日、私は朝、遅刻しかけていた。
地元の電車が遅延し、さらに乗り換え先の電車がなんか定刻よりも早く駅を出発してしまったので、乗り換えに失敗したのだ。そんなことあるんだ。
駅から会社までは徒歩3分。電車が駅に着くのは始業の3分前である。
会社の鍵と定期をカバンから出してポケットに突っ込み、ドアが開くのが早いか私は一目散に駆け出した。
疾駆。
駅から会社までの道のりで、時たまネズミがブヨブヨのお腹を振って、居酒屋の脇道を走っているのを見かける。今日はいなかったけど、その光景を思い出した。
会社にはギリギリ間に合ったが、来てみると3人しかいなくて、他の人は遅刻していたり、休んだりしていた。
今日はつまり、そういう日なのだ。
やるべきことはたくさんあるし、本来ならそれらをすべて片付けたほうがいいのだが、最近わかったことに、私は夜になると急激にパフォーマンスが落ちるという特性がある、というのがあるので、久しぶりに残業をせずに仕事を終えた。
でも早く帰った理由はそれだけじゃない。
近頃は残業をし過ぎていて妻とほとんど一緒にご飯を食べれていなかったのだ。
それについて妻が苦言を呈すことが増え、クールを気取っているもののヘソを曲げることが多くなってしまったのだ。まるで猫みたいだ。
私としても一緒にご飯を食べることは家族にとってなによりも大事だと思っているので、今日ばかりは家庭を優先することにした。
だいたい、なんか今日はやる気がなかった。
木曜の祝日って、あまり意味がないというか。
月曜日が2回ある気分だし、金曜日が2回ある気分でもある。
それは2回損をしていて、2回得をしている、0である。
そんなら気分だから仕事も、人いないし、すごい気楽にやって、テキトーにやって、スッと帰ったのである。
そういう日。早く帰る日。