昨日はブログをサボった。仕事終わり、飲みに行ったからだ。
会社は午後から上役が主催する新人歓迎会で、高級ホテルでフレンチのコースを食べたり、マジシャンが高卒の新入社員を浮かせたり、私はビールを飲み続け、運良く一貫2000円の大トロを食べれたりと、良い思いをさせてもらった。
19時近くに解散し、私は友だちのライブへ向かった。彼の出番に間に合うだろうか?
間に合わなかった。
友だちの出番はとっくに終わり、私は3000円のジントニック(入場料である)を飲みながら、おっさんバンドのベンチャーズを聴いた。
ベンチャーズは良い。
シンプルだし、体が勝手に動き出すし、どこか文学的な情緒を感じさせる。たとえば「10番街の殺人」はタイトルに反して明るい曲調なのだけど、そのことがかえって殺人者の心情を浮かび上がらせるような気がする。
10番街の殺人 Slaughter on 10th Avenue '65 【Resize-HQ】 The Ventures - YouTube
おっさんがやるベンチャーズ、という様式美をはじめて見た。きっと彼らは十代のころベンチャーズに電気を浴びせられたのだろう、彼らのギタープレイは決して上手ではなかったけれど、その指先には十代の頃の衝動が走っていた。
生涯、青春。
生涯、現役。
それを見れただけでも3000円の価値があったと思う。
よく考えたらなかったとも思う。
ないよ。
よく考えないでも。
負け惜しみだよ。
ライブを見ていて、バンドをやっていた頃のことを思い出した。
アンプからまっすぐ飛んでいくギターの水圧、ベースの震盪、ドラムの渦。
2年前まであの洗濯機の中にいたのだ。私たちは穢れを落とすために泥をぶつけ合っていた。
楽しかったけど、だんだん才能の限界に気付いてしまったし、金がかかりすぎたし、私はバンドから離れていった。なによりも、音楽を作れなくなった。
バンドから離れてしばらくして、長くお世話になっていたライブハウス新宿JAMが無くなった。
その話を聞いて新宿JAMに行ってみると、すでにビルは解体されており、新宿の日陰の中で無音の更地になっていた。名残も残さないで。
そんなことを思い出しながら、ライブに体を揺らしていた。ロックライブで体を揺らすのは、観客の正しい作法とされている。
すべての演奏が終わり、友達と合流した。
彼は前に私のバンドでドラムを叩いていた。
彼のドラムが好きだった。個性があった。そんで最近、彼はドラムでギャラを貰うようになり、まだまだ駆け出しだけど、これは喜ばしいことだった。
自分のプレイに値段がつくってどんな感じなんだろう。私は自分の作品に値段がついていないからよくわからない。ちょっと想像してみると、それはなんだか面倒なことのようにも思える。
しかし、ともかく友達が良い感じであるということは喜ばしいことだ。
そのあと、地元のバーで少し飲んだ。
話をした。私のこと、彼のこと。
奥のカウンターではおっさんが2人、とりとめのない話をしていた。
温かくて、良い時間を過ごせたと思う。
お会計、4000円した。
ふぅん。初任給で私が奢った。
しかし4000円以上に価値のあった時間なので、財布が軽くなっただけでむしろ得した。
そう思う。
GW楽しもう。