蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

良い兆候を見つければちょっと上向きの人生

  朝、えげつない雨が降っていた。

    朝食のスコーンを齧りながら、やれやれ、こんな雨の中歩いて駅まで行かなければならないのか、金曜の朝は週でいちばん疲れているのになんだってこんな天気なんだ、神は死んだのか。……そう思った。

 

    しかし、家を出た途端に雨は止み、雲間から差す光の中に私は立っていた。

    まさにちょうど晴れたのだった。駅までの道、雨は全く降らず、水滴は朝を洗い流してきらきら光り、祝福的な通勤路となった。

    よい兆候だ。

    よい兆候があると、その日は上手くいくことがきっとある。

    私はよい兆候を感じて、さア週末だ今日一日頑張るぞ!と珍しく前向きな気持ちになって、会社へ踊り込んだのだった。

 

    よい兆候を見つけると、前向きな気持ちになれる。なにかこの後、良いことがあるかもしれない、という期待感が湧く。

    よい兆候はなかなか見つけられるものではないけど、日頃の観察と視野の広さを持っていれば、存外見つかるものではないか。なんだってなんらかの吉兆になりうる。

 

    願掛けみたいなものだけど、心持ちがちょっと方向を変えるだけでその心に陽が差すことがある。それは窓から入る新鮮な光かもしれないし、木漏れ日のようにやわらかいかもしれない。あるいは、暗闇に灯るロウソクかもしれない。

 

    実際、今日一日運が強かった。

    昼過ぎにメールサーバが死んだのだけど、たまたまそれは容量の大きいフォルダを送るためだけのもので利用者が少なかったため、問い合わせはわずかに3件で済んだし、しばらくしたら復旧した。

    また、AWS(アマゾンの提供するクラウドサービス)が死んだことにより、世間では多くのオンラインサービスやサーバ、スマホゲームが被害を被ったようだが、うちの会社は現状AWSの運用をしておらず、AWS移行のための開発機が止まっただけで、特に障害は起こらなかった。

 

     運が良い。

    ぎりぎり死なない。

 

    他にもいろいろトラブルがあったようだけど私には降りかからず、私は昨日までに今週のノルマの仕事を終わらせていたので今日一日なんだか暇で、しかし暇すぎずそれなりにやることはあったのだけど、残業せずに定時と同時に会社を出ることができた。

    帰りの電車で運良く座れたからこうしてブログを書けているし、雨はもうすっかり止んでいた。

 

    本当に良い兆候だったのだ。

    もし、それを見つけるだけで運が良くなるのなら、私は目を皿にして重箱の隅まで探しにいくつもりだ。地面を舐めるように観察するのだ。猫のノミ一匹も見逃すまい。

    血眼で吉兆を探そう。