人間、誰しも眠れない夜はある。
眠れない夜はつらい。肉体は疲労しているのに精神がさえわたっていて、ソワソワとして眠れず、眠れないことに苛立ち、時刻がすすむにつれて不安を覚える。人間が孤独な瞬間のひとつだ。
私も月に何度か眠れない夜があり、孤独感に苛まれて死にたくなる。
寝れないくらいなら死ねたらいいのに、そう思う。さすがにそこまでは思わない。
そんな夜のための睡眠導入の方法があるので、いくつか紹介しよう。
1.Wikipediaでわけのわからない記事を読む
Wikipediaは情報の正確性に欠けるものの、莫大な量の情報があり、読んでいて飽きない。なんとなくな情報がほしければWikipediaを使えば十分なのでとても便利だ。
その文章は辞書的な温度のない文章で、文学的な面白みは一切ない。
眠れない夜、私はWikipediaで惑星のことや鉱物資源のことや数学の定理のことを調べてまどろみを仕掛ける。
難しければ難しいほど読むのが苦痛で、次第に眠くなるのだ。
ただし、歴史系や事件系、文学系の記事は興味をそそるのでより一層眠れなくなるし、難しい記事を読んで「これはどういうことなんだろう」とさらに調べていくと頭が冴えてしまうので注意。
さらに眠れなくなる。
2.作業系の動画を視聴
YouTubeには作業をしているだけの動画がいくつも存在する。
絵画を修復する動画、金属を研ぐ動画、工業生産過程の動画、などである。
それらはほとんど何の盛り上がりもなく、ノイズの少ない動画なので見ていると脳が活動を停止し、次第に眠くなってくるのだ。
海外の動画ほどよい。必死に英語で説明をされてもこちらとしては念仏にしか聞こえないので思考停止する。
ただし、目が覚めまくっているとふつうに面白い動画たちなので、ほうほうと思いながら興味深く見入ってしまう。
そこで本当に坊主たちの念仏を聞きはじめるのだが、これがけっこううるさく、思考がなぜか活発化するので、孤独感が増悪し、悪い夢を見そうになるからよくない。
YouTubeは時間を吸い取る兵器であり、そうこうしているうちに時間は午前3時をまわっている。
明日は6時過ぎには起きないといけないのに、こうなったらもうほとんど寝てないのと同義だ。
3.寝ない
こうなったら「寝ない」と決める。
明日どれだけつらくなろうが、こうなったら寝ようが寝まいがそんなに変わらないのだ。
いっそ寝ないで好きなことをしたり、だらだら気楽に過ごした方が楽しい。
だけど面白いことに、私は「寝ない」と決めてから、案外すぐに眠くなってしまい、そのまま短い眠りに入っていける。
結局のところ、「寝なければならない」というプレッシャーが眠りを妨げるので、「寝なくてもいい」と思うことでリラックスしてしまうのだろう。
ちなみに、読書はお勧めできない。
面白い本だと作品に没頭してしまって余計に目が冴えてしまうのだ。難しい本ならいいかもしれない。『大衆の反逆』とか『資本論』とか。『眠られぬ夜のために』というつまらない小説もこの世には存在する。お勧めしない。