蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

むずむず脚症候群の可能性

ずむずする。

昔からたまに、座っていたり横になっていたりすると、下腹部のあたり(より正確に言うと太ももと太ももの間にある空間のあたり)がむずむずして、いてもたってもいられなくなることがある。

 

夕飯後むずむずに陥り、解決策を見いだせないまま体をねじり、今にも走り出したくなったり泣きだしたくなったりチョコレートを爆食いしたくなったりする。

 

なんなのだろう、このむずむずは。

「病気なんじゃないの?」と、恋人は言った。

病気の可能性を言及されてはじめて、そうかもしれない、とおもった。

自律神経の一部が何らかの要因で溶けているのかもしれないし、大脳皮質が腐っているのかもしれないし、架空の臓器「芭蕉」が不全を起こしているのかもしれない。

「精神的なものかもしれないね」とも恋人は言う。

精神的なものではない。むずむずは何の脈絡もなく、リラックスした身体に襲い掛かり、解決の糸口も見出せないまま眠るしかないのだが、悪性になると眠ることさえうまくできなくなる。

昔から──それこそ物心ついたときくらいから──この現象はあって、たまに、月に2回くらいなのだけど起こるので、なんなのだろうとちょっと悩んでいる。

 

「むずむず 足 病」で調べてみる。

むずむず脚症候群」というふざけた名前の病気が検索結果にヒットする。

ふざけた名前だが、けっこう厄介そうな病気で、Wikipedia医療機関のサイトを読んでみると、なるほど、私の抱える症状とすこし似ている。

だけど、私の場合は足の内側が痒くなることはなくて、なんていうか、下半身だけとにかく動かしていたくなるというか、それもちょっと違うな、とにかく下半身のあたりが落ち着かなくて、脚が糸の塊になってほどけていくような(怖……)ほんのりとしたくすぐったさと、いつまでもほどけないでいるのを見つめているじれったさのようなものがあって、居ても立ってもいられないのに居ても立ってもいられる。貧乏ゆすりするとちょっと落ち着く。

DEATH NOTE』で死神リュークが好物のりんごを長期間食べなかったとき、「禁断症状」が出て体をねじって逆さまになったりブレイクダンスの途中格好のような姿勢を取っていたりしたけど、あれの下半身だけバージョンをやりたくなる。

 

Wikipediaによると日本人の3~4%がむずむず脚症候群であるらしい。怪しい数字だが、現に恋人の同僚にもこの病の人がいて、夜眠れなくなったりするらしい。眠れないのは可哀相だ。

私は症状が軽いだけで、もしかしたらやっぱり、むずむず脚症候群の気があるのかもしれない。急に怖くなってきた。どうすればいいのだろう。

とりあえず今起こっているこのむずむずを解消するために、外に出て、夜の秋風で一句捻ろうかとおもう。こういうときは気晴らしが大事だ。

 

秋風の 障るすね毛に むずむずし 

 

うん、駄句。