蟻は今日も迷路を作って

真面目な話からそうでない話まで。本当の話から嘘の話まで。蟻迷路(ありめいろ)という人が書いてます。

歳とってからNHK好きになった

 ネーチケーは良いテレビだ。

 NHKを滅ぼす会だかNHKから国民を守る党だか名前は忘れたけど、そういうのが出てきて少なくも支持されている事実は悲しい。あんなのはポピュリズムで、古い言葉を使うならデマゴーグ(扇動政治家)だ。もちろん彼らのマニフェストなんて知らないし、興味もない。

 

 たしかに受信料を(見ていないにもかかわらず)取られるのは不服申し立てだけれども、見るべき番組はNHKにたくさんある。

 と言っても今日は番組を宣伝する気もないし、NHKが好きと言ってもそんなに見ているわけではないので自信はないのだけど、NHKの番組はたいてい興味深い。

 ひと番組見るだけで本を一冊読んだかのような充足感がある。

 けっこう攻めた番組もある。また、丁寧な番組が多い。なによりも番組中にCMが無いのが素晴らしいし、民放のように煩くもない。

 

 20代になってから民放のノリについていけなくなった。

 やかましくて、色が強くて、明るすぎて、または暗すぎて、見ているだけで脳細胞が死んでいく感じがする。まぁ、頭を空っぽにして見られるという点では優れているけど。受信料をとられないで見られるんだから(要するに無料なんだから)、こんなもんだよな、と納得する。

 NHKは受信料に見合った番組を流してくれると思うのだ。

 

 特に自然をテーマにした番組は映像が美しくて素晴らしい。

 以前、東北かどっかで牡蠣の養殖をしているおじいさんを取材した番組があったのだが、その牡蠣棚の水中映像の美しさは写真のように細密で、画面を越えて磯の香りが漂うほどだった。

 視聴率を気にしないで作れるからこそ、じっくり丁寧な映像を提供できるのだろう。

 

 私がNHKを見直すきっかけになったのは、年齢のせいもあるけど、就職活動中に聞いたNHKの人事の方のお話が大きい。

 昨年、就活で興味本位でNHK会社説明会に行った。

 そこで人事の方は、私たちNHKは視聴率にとらわれないからこそ、視聴者に本当に求められている番組を制作できるのです、とお話をした。

 

「受信料で私たちの仕事は成り立っているけど、あるいはいずれ、受信料を貰えなくなり、閉局に追い込まれることがあるかもしれません。番組を打ち切り、限られた時間だけのニュースしか放送できなくなるかもしれません。そうなったら、私たちが最後まで放送すべき番組はひとつです。手話ニュースそれです。手話ニュースは視聴率にとらわれていない私たちだからこそ、制作し放送できる番組なのです。手話ニュースは私たちの誇りです」

 

 NHKは「必要なもの」だ。

 災害のとき、迷わずつけておくのがNHKだ。

 さきの台風による災害でも、民放は早々に各地の被害状況などテレビの枠に流すのをやめてしまったけれど、NHKはかなり長い間それを流していた。

 NHKは単なる番組でも放送局でもない。

 ある意味インフラなのだ。

 

 まぁ、就活でNHK受けなかったんだけども。

 作る側になったら番組の見え方が変わるだろうから嫌だった。