蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

猫の耳に説法

  実はうちの猫2頭は仲が悪い。

 平日は家を留守にすることが多いので、それでは寂しいだろうと2頭もらい受けたのだが相性が悪かったらしく、いつもいがみ合い、時に暴力すら振るう。

 メスとオス、どちらが強いわけでもないのだけど、威嚇するときの声はメスに凄味がある。

 るるるるるるる、ふーっ、ふーっ、しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいい、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる、ごごごごごごご。

 遠雷かとおもったら猫だったことがしばしば。

 お互いのどこがそんなに気に入らないのか、どちらかに問題があるのか、よくわからないのだがしょっちゅう喧嘩をしてはひっくり返ったり部屋を暴走する。そのうち家具が壊れてしまいそうだ。

 

 2頭が暴れると私はやおら立ち上がり「やめなさい!」と仲裁に入る。

「どうしてそんなことをするんだ。お前はオスだろう。もう少し我慢をしたらどうなんだ」

 するとオスの方は不貞腐れたように何も言わずその場を後にし、爪とぎに乗って鬼気迫る雰囲気で乱暴に爪を研ぐ。

 メスの方もメスの方で、彼女は対人にせよ対猫にせよとにかく会話を好まないクールな気質で、なにかと「察してほしい」雰囲気を持ち出しては自分の思い通りに行かないとイライラしてソファを掘るなどしている。やめてくれ。

 現実にもそういう女はいるけど、面倒くさい女なんて言われたりして、会社の若い社員から嫌われる。

 ちなみにこれが男になると、かなり、相当に厄介で、なんていうか小さい子どもをあやすように接しないと集団の雰囲気が険悪になり最悪なことになる。私の先輩がそういう人なのでよくわかる。とっとと異動してほしい。

 

 話が逸れたので戻すが、なんとなく原因はオスの方にあるんじゃないかと思われる。

 彼はなんでもかんでも自分のものにしたがり、おやつや焼き魚や肉の切れ端を双方に与えようとすると、全部自分のものにしようとしてメスにしつこくする。

 遊びに関してもそうで、メスの方と遊んでいると割り込んで入って来て結局おもちゃを奪ってしまう。

 そういうとこだぞ。

 

 メスの方は目が悪くて動きが鈍い。

 白内障ではなさそうで、どうやら生まれつきそうらしい。だから食べるのも遅いし、遊ぶのも下手だし、なにかと鈍いのだ。

 そういう体質が彼女の気質を「面倒くさい女」にしたのだと考えると、哀れで涙が出そうになる。もっと彼女を労わってやらねばならない。彼女の代わりに私が手足となって世話をしてやらねばならない。

 オスの方もそのことをわかってやるべきだ。

 なので再三にわたり伝えているのだが、まったく聞く耳を持たない。馬の耳に念仏。猫の耳に説法。

 

 なんとか仲良くしてほしいところだ。