昨晩は塩分を摂りすぎて死ぬかとおもった。
カルボナーラを作った。ご覧、美味しそうにできているでしょう。
まさか不味くて死にかけることになるとは。
インターネットで「牛乳と生クリームを使わない本格派カルボナーラ」を調べ、材料は揃っていたので、作ってみようということになった。
カルボナーラを作るのは初めてだった。
昔やっていた「得する人、損する人」という番組で紹介されたレシピらしく、それを遵守して作った。レシピは守るためにある。その通りにやればたどり着ける宝の地図みたいなものだ。
お湯1リットルに対して小さじ4杯の塩。
3.5リットルの湯を沸かしたので、12杯の塩を入れた。
舐めてみると海水みたいな濃度になり、この時点で若干の不安を覚えたが、3.5:12なので1:4と方程式が成立せず、これでも本来よりは薄いのであった。
麺を茹でている間に刻んだベーコンをニンニクとオリーブオイルで炒め、ボウルに鶏卵と粉チーズを入れる。このとき、粉チーズでボウルを半分に分けるように壁を作り、半分に卵を、もう半分に炒めたベーコンを入れる。
あとは麺が茹ったら、ボウルに入れて10秒ほど蒸し、全体的に卵とチーズとベーコンが絡むまで混ぜ合わせれば完成だ。
とても簡単だ。失敗する要素もほとんど無いので、どのスパゲティよりも簡単かもしれない。
これは、粉チーズの値段さえ目を瞑れば、今後も活躍するスパゲティになるな、と確信めいた予感を抱いた。こんな簡単なの、重宝するぞ、と。
だが、簡単なのに、失敗した。
こんなに美味しそうにできたのに、一口食べて、海水浴をした後か?錯覚するほどの塩気があった。
バグ? 塩バグ?
毒(ポイズン)カルボナーラ。
カルボナーラ・海水浴風。
そんなところだろうか。
ただ危険なほど塩辛いわけでもなく、ギリギリ食べられる塩辛さだ。海水を飲むのではなく、海水浴後の口の中くらいの不快な塩気であった。
それが仇となり、ギリギリ全部食べてしまったのだが、このことが後に悲劇を生むことになる。
やはり、麺を茹でる塩が多かったのだ。
だが、分量はむしろ少ないくらいだったはず。いったい何が起こったのか?私はなにを間違えたのか?最初からなにもかも間違えていたのだろうか?インターネットの情報を鵜呑みにしたのが良くなかったのだろうか?
食後、恋人と揃って体調が悪くなる。
恋人は酷い頭痛を訴え、私は視界が揺らぎ、頭がくらくらした。また、腹痛と軽い吐き気を覚え、全身がむくみはじめる。
おそらく、塩分を過剰摂取したことにより血圧が上がり頭痛やめまいがしたのだろう。体内の水分濃度が変化したことで体がむくんだのだろう。
やや危険な状態であった。
排尿を促すために、緑茶を飲みまくる。お茶には利尿作用がある。体内塩分濃度を、排尿によって薄めていくしか生きる道はない。
身体がつらいと心も鬱屈としてくるが、それは良くない傾向である。テレビを見て必死に笑うことで「気」から治癒を図る。笑いは邪気を祓う。
あは、あははは、は、となんとなく笑ってみたけど、番組では池上彰がなにやら不穏な話をしているばかりでまったく笑えはしなかった。恋人は唸りながら横臥する。私は何も言わない方がよさそうだった。
しばらく(40分くらい)して、すこし落ち着いてきた。ペットボトルのお茶2本を飲み切っていた。
「これじゃあおれたち「損する人」だったネ」と言ったら恋人はちょっと笑った。
「いいオチがついたね」
「うん。おかげでブログにも書けるよ」
あはは、は、はは、は……。
(こういうときはとにかく水分を摂って出すもの出すしかないです)
↓
おそらく、塩分が分量通りでも辛くなってしまったのは、麺の種類に原因があるのではないか?
番組で紹介していた麺の太さと茹で時間が私たちの「マ・マー」とは違っていたのだろう。
このところ料理の失敗が続いて凹んでいる。
自分で作って自分で不味くなり、しかもそれで腹を満たして体調を崩すなんてほとんど自傷行為じゃないか。