近年、草食系の30代が増えているらしい。
ヴィ―ガンが増えているのではなくて、恋愛に興味を持たず、結婚そして出産に踏み切らない「草食系」と呼ばれる人々が30代の内に増えているというのだ。
要するに恋愛に対して消極的であると。
さまざまな要因が考えられるけど、ひとつの原因として考えられるのは、10年前に草食系という概念が登場して当時の若者(10代後半から20代)が「草食男子」などと呼ばれていたのが、10年経って30代になっただけのことなのではないか、というものだ。
10年前こそ「草食男子」だったけど最近は「草食女子」出てきていて、10年も経てば性別関係なく広まるだろうと当然予想できるので驚くべきことではない。
私が無知なだけでもしかしたら驚くべきことなのかもしれないが、ともかく私個人としてはこのニュースを見て、ああ、そう、くらいにしかおもわなかった。
少子化は単にグラフ上で人口が減るだけでなく、その国の文化や伝統やその国にしかない空気感とか、もっと根幹の深いところを破壊しつくして、ゆるやかな滅びを与える、今最も懸念すべき社会問題であると私はおもう。
さまざまな要因があって、どこからどうしていけばいいのか専門家でもないからわからないけど、ただ経済だけではなくてマインドの無意識的な領域で、かつ集団的に、なにか変化が起こっているのではないかとも考えられる。
原因はひとつではなく相互に絡み合ってほどきようもない糸くずみたいに膨らんでいく。
こうした重大な社会問題に直接かかわるのが「草食系」である。
この期に及んで「草食系」という呼び方はもうやめたらどうだろうか。
言葉の響きには揶揄の感じがあって、メディア的に扱いやすく、「草食系」が流行となるような売り出し方が過去に無かったとは言わせない。
ここまでの社会的な問題になっていることを「草食系」などと称してへらへらしているのはいかがなものか。
なにか配慮に欠けているというか、現実の捉え方に歪みがあるというか、なにがそんなにおかしいのだろうか、と理解ができない。
癌のことを「悪(わる)イボ」と呼んだり、患者を「ばいきん」と呼んで笑うような不謹慎さをかんじてしまった。
これが10年の変化なのだ。
なにもかもが悪化しているのではなくて、なにを悪と捉えるのかその尺度が変ってきている。
思考をバージョンアップしなければならない。