蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

幸せになってほしい

距離恋愛ってしたことがないから想像がつかないのだけど、恋人と同棲を始める前、コロナで一か月くらいまったく会えなくなりLINEしかできなかった時期があって、それでさえ結構つらい思いをしたので、たとえばアメリカと日本で3年も一度も会わずに遠距離恋愛するなんてどれだけ忍び難いことか、おそらく想像できる範疇を超えている。

「いや、意外と、もうそれが当たり前になってしまって。つらいというよりかただ会いたいなって感情が胸にあって、でもそのおかげでずっと想っていられて心の支えになりましたね」

ご本人はそうおっしゃるかもしれない。

小沢健二の『僕らが旅に出る理由』でも次の歌詞があります。"こんなに遠く離れていると愛はまた深まっていくの" 離れていたからこそ、お互いの想いに気付けるということもあったと思います。この3年は決して無駄ではありませんでした」

いい歌ですよね。

 

恋人に一か月会えなかった日々を思い出す。

LINEはしていたし、通話もしていた。画面も繋いでいた。ただそうすればするほど、彼女がいま私のそばにいないことが際立って温もりが恋しくなるのだった。スマホが熱を帯びても通話を続けた。でもそれは温もりには程遠い熱だった。

久しぶりに会った日、季節はとっくに夏がはじまりかけていて、私は2020年の春を失ったのだと思い知った。彼女と過ごすひとつの春を、永久に。

同棲をしよう、と思った。

 

3年間の遠距離恋愛はとてつもないことだ。その間一度たりとも会っていないなんて正気の沙汰じゃない。

私には難しいことはわからないし、経緯もよくわかっていないのでとやかく発言をするのは避けるが、ただその3年間の遠距離恋愛を経て、という一点に焦点をあてて、とてつもなくものすごい偉業だな、と思うのだ。

幸せになってほしい。それ以外に救われる道は無いのだから。

幸せになってほしい。誰よりもいちばん。