蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

鍋って

ってほんとうに好きだ。

何鍋でも好き。

土鍋、鉄鍋、銅鍋、兜鍋、中華鍋、朝鮮鍋、トルコ鍋……って道具方の話じゃなくて料理の話をしたいのだけども、思いつく限り書いてくと、

水炊き、キムチ鍋、ミルフィーユ鍋、みぞれ鍋、あんこう鍋、鱈鍋、石狩鍋、フグ鍋、味噌鍋、しゃぶしゃぶ、すき焼き、おでん、トマト鍋、ちゃんこ鍋、寄せ鍋、キャベツと豚こまの鍋、湯豆腐、鍋焼きうどん……etc.

どれも好き。

鍋をつつきながらビールとか日本酒飲むのがたまらん。鍋でほっこり、酒で血まで温くなる。

作るのが簡単なのもイイ。

具材を切るのが強いて言えば手間だけど、ぶっちゃけ体裁なんて気にしなくてイイ。

CMとかに出てくる、あの綺麗な状態の鍋なんて幻想だと思ってる。食べりゃ同じよ。鍋は鍋に入っていれば完成の盛り付けなのだ。だからどんなかたちに野菜を切っても、火が通れば問題ない。

ともかく切った具材を土鍋に敷き詰めて、水いれて、和風出汁の素か鶏ガラ入れて煮込めば鍋になる。両方入れてもいい。なんだだていい。どうせポン酢で食べるから。

スープに味がついてる鍋もいいよね。なんか楽しい。キムチ鍋なんて大好きだ。いちばん好きかもしれん。キムチに関しては韓国になんらかの賞を与えた方がいいね。

あと、鍋料理は野菜をより美味しく食べられるのがいい。

それから、豆腐ね。豆腐。

三十代の足音が聞こえてきたせいか、ここ最近、やたらと鍋に入ってる豆腐が好きだ。

アツアツの豆腐を、ほへほへしながら、湯気の熱気を口の中に含むのが、美味しい。豆腐ってあんまり味はしないのにたしかに味気のようなものはあって、それが不思議だ。

肉よりも豆腐をありがたがって食べる私を見て、妻は「老爺」と呼ぶが、老爺だろうが翁だろうが構わない。豆腐が美味けりゃなんだっていい。

安い豆腐を普段は食べているけど、高いのにしたらどうなっちゃうんだろう。もう二度ともとの安いのには戻らないだろうか?それとも違いなんてわからないのだろうか?だから怖くていつも買えない。

 

鍋ってとてもいい。

簡単、美味しい、栄養たっぷり。完璧。

鍋から立ち上る湯気がダイニングのライトに照らされてその都度形を変えるあの光景のために、冬は存在する。

鍋を楽しめるならずっと冬でもいいと思ってる。

 

いや、それはちょっと嫌かも。