会社の空気が全体的に弛緩していた。
そもそも出社した人が少なかったし、外は行楽日和で晴れやかで、しかも火曜日は祝日ときたもんだ。
誰だって仕事をする気が失せる。
ただ私は、あえてだけど、結構、仕事に勢いをつけて臨んだ。
まるで明日の休みなんて毛頭考えていないかのような働きぶりであった。きっちり2時間半残業をしているし、いくつか電話をかけ、作業を少しでも先に進めた。
やれやれ、それでも仕事は終わらないな。いやぁ、大変だな、1週間てのは。いやぁ、明日も仕事か〜…って気分で今このブログを書いている。
このあと家に帰っても、まったく浮かれずに、粛々と雑務をこなす予定だ。
なぜなら、こうやって普通の平日のように過ごしておきながら、ふとしたときに「いや、火曜日お休みじゃん!!!!!」と気付いたほうが多幸感があるから。
でもまぁ、無理だろうな。
嬉しくてすでに手がワナワナ震えてるから。
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子羊のグリルとか、子牛のステーキとか、ひな鳥のフライとか、そういう料理がある。
子羊だからなんなのだ、という気がするが、しかし美味しいから良いとして、それにしても子どもを食べるというのはなんとなく気が引ける。
どうせ成長したところで食べられる運命は変わらないから遅いか早いかの差でしかないのだが、私は別に、子羊が出されたからって「やった!"子"羊だ!子どもの肉は甘くて美味いんだよな!」なんて思わないので、子羊の肉を使っていたとしても秘密にしておいてもらいたい。ただただ、妙な罪悪感を抱くだけなのだ。
自分が幼いころはとくに「子羊の〜」を目にすると人間の残虐性に怯えたものだ。きっと、子どもながらに大人に食われる恐怖をグリルプレートに重ねていたのだろう。
子羊の動画を見たあとだと、余計にグッと胸に刺さるものがある。
まぁ、食べるけども……。
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パソコンのキーボードには使ったこともないようなキーがある。
insertキーってなんなんだよ、と思うものだが、今日は無変換キーに注目したい。
これは、ひらがな→カタカナ→半角カタカナに文字を変換してくれる便利なものである。
でも、使うたびに「いや、カタカナに変換してるじゃん」と思うので、それが煩わしい。
無変換なんて名前にするから、カタカナやカタカナに変換するたびに「なんなんだよ」と喉に刺さった小鼻のように意識の一部をチラつくのだ。
無変換という名前をつけた人、なにを考えてたんだろう。正直、情状酌量の余地もない。あんまり上の人とも相談せずに納期ギリギリでテキトーに決めたんだろうな、という感を否めない。
あるいは、部長が「無変換がいい。無変換以外はセンスない」みたいなことを言ったために、どうしようもなくなって「無変換」で登録されたのだろうな。
その部長は部下からかなり馬鹿にされてるし、すっげ嫌われてるんだろうな。
「無能感」とか言われてるんだろうな。