かれこれ10年くらい、ギターを弾いている。
10年弾いてるくせにめっちゃ下手くそで意味がわからないのだが、下手くそなりに10年好きな楽器なので愛着はある。
エレキギターを主に弾いていたのだが、3年前にクラシックギターを始めた。
ギターを知らない人からすればいったい何が違うのかよくわからないだろうが、エレキギターとクラシックギターは、きゅうりとズッキーニくらい違う楽器である。
具体的には、アンプから音を出すかどうか、音色の違い、楽器の構造の違い、など相違点を挙げれば枚挙に暇がない。違いのひとつとして、「弦」が異なることをここで強調しておこう。
エレキの弦は金属でできておりピンと張りつめていて、クラシックの弦はナイロンでできていて太めの糸みたいになっている。当然、弦の交換の仕方が違ってくる。
クラシックギターの弦がだいぶボロボロになってきていたので、交換することにした。
エレキギターの弦は何度も交換してきたからクラシックもヨユーで替えられそうなものだが、構造をつぶさに観察すると、どうやらエレキとは勝手がだいぶ異なるということがわかってくる。
あるべきものが無く、見たことのないものが有る。初めて女体を見たときと同じ気持ちになった。
はっきり言って、うまく交換できる気がしない。
店に行ってプロに交換してもらおうか、それともボロボロには目を瞑って数年使い続けるか……。
一応、交換方法を調べてみる。
「あらゆるギターの中で、クラシックギターの弦交換が最も困難である」と書いてある。
なんでそんなことを書くのか理解に苦しむ。
ギターを弾くのはそんなに簡単ではないけど、弦交換も慣れないと結構難しい。悪戦苦闘すると楽器を傷つけたり、弦が傷んでしまったり、調弦が合わなくなってしまう。10年前、最初のギターの弦交換をしたときにかなり苦戦して、6本の弦を替えるのに3日くらいかかった嫌な思い出が脳裏をよぎる。
そして、嫌な予感も。
「店に行った方がいいよ」と妻も助言した。
妻の言うことは大抵、正しい。
でも私は、結果として、自分で交換した。
しかも結構、うまくいった。
なんならそんなに難しくなかった。手順が多くて面倒くさくはあったものの。やってみないとわからないものだ。
交換が終わって、すごくスッキリしたし、いつになく達成感があって充実した気持ちになった。
この充実感は「成長した」と実感した気持ちよさだったのだろう。
27歳にもなると、大体のことの要領はやる前からわかったり、そもそも挑戦をやめて安定に走りがちで心の平穏を保とうとする。それはそれで平和でいいのだけど、やっぱり何事も挑戦してみて自分を切り拓かないと、どんどん老いるものだ。
なんでもやってみる元気なおじいさんって確かに若々しい。心の若さって大事だ。
弦交換程度で何を偉そうに、と思うけど、こんな小さなことでも挑戦は大事だし、こんな小さなことで自信を持てるのだから安いものだ。
作ったことない料理を作ってみる、DIYしてみる、イベントに参加してみる、初めての人に会ってみる。
些細なことだけど、そういった挑戦で自分の気持ちを若く保ち、人生を豊かに過ごしたいな〜と思いました。丸。