電車の広告に、日能研の中学入試の問題が載っていて、あまりにも難しくて半ギレになってしまった。
半ギレだったけど、平静を装った。
「まぁ、こういうの解ける子どもは、おれの代わりに日本を背負ってほしいモンだね」
我ながら浅ましく、誰に効かせた皮肉かもわからない言葉が、後から後から自分に跳ね返ってきて悲しくなった。
まず問題文がよく理解できなかったし、ネットで答案を見ても理解するのに時間がかかった。時間をかけたら理解できたけど、なんていうか、腑に落ちなかった。つくづく、ダメだ。
面白い問題だし、ほんとうに初見でこれを解ける小学生には平身低頭の他なく、是非とも内閣総理大臣になっていただきたいものだが、同時に、大人を舐めるな、とも思った。
ガキなんてコアラのマーチで買収してやる。
話は変わるけど、私は文章から物事を理解するのが苦手だ。
先の問題も、問題文を理解するのに時間がかかった。
書籍編集の仕事をしていて何を言っているんだと自分でも思うが、文章や数式から物事を理解するのがあまり向いていない。
文章を文章として飲み込めず、一度頭の中で咀嚼して、映像化したり画像にしてみたり、図にしてみたり、そこから理解をして、初めて自分の中で言語化ができる。
文章を理解できないので、会話はもっと難しい。
ワンセンテンスで二つ以上のことを言われると訳がわからなくなり、その処理に時間がかかって次の話がわからなくなり……結局会議では特に意見も言えずボーッとして終わる。
あとからメモを咀嚼して、なんとか思い出して、意見をまとめたり考えを出したりするのはできるのだが、その場で当意即妙に答えることはできない。
これ、なんかの障害なんかな?
単に無能の馬鹿だとずっと思ってたけど、無能のバカの割には後から自分の出した意見が通ったり、時間をかけて言語化したものは評価されたりもするので、単なる無能バカではなさそうだ。
読んですぐ理解できないのもそうだけど、耳で理解できないのがマジでやばい。
人と話していてもなにかノイズがあったり他の人が話していたりするとそちらが気になってしまって声が入ってこなくなる。その結果、曖昧な返事をしてしまって変な顔をされることが多々ある。ゲームみたいに会話がウィンドウ表示されればいいのに。
また、考えながら聞いていると自分の思考に邪魔をされて、やはり人の話を聞けない。
みんなそういうもんなのだろうか?
こればかりは他人と比べられないのでなんとも言えないのだが、アウトプットのはやさや精度を人と比べると、私は明らかに劣っている。
ビジネスシーンではこれがかなり足手纏いの原因となっていて、読解と傾聴の2点で相当厄介だ。
なんか、こういう障害だと言ってくれた方が気が楽だ。それで納得できれば自分を貶めなくて済むし、対策もできるだろう。
本当に、ただただ脳細胞が腐っていてあらゆる感度が低いだけの木偶の坊だとしたら、それはそれで一切を諦めて地を這って生きていくけど……。