仕事が全然終わらない。
書籍編集という仕事は自分の裁量である程度忙しさをコントロールできるものの、どうしても書籍発行という締め切りが設けられているため、ギリギリになってくるとひじょうに忙しくなる。
よく著者やイラストレーターが「締め切りがやばい〜!」みたいなことをいったり、「締め切り間に合わなかった!」みたいなことをいってるイメージがあるけど、あの人たちよりも編集の方が締め切りやばいのではないかと思っている。この人たちの手の早さ如何で私やDTP(紙面のデザイン・文字組みを調整したりする人)の忙しさが変わってくる。締切を催促する一方で、私も催促されている。
ときどき、ライターが逃亡して連絡が取れなくなることがある。こうなると最悪で、本当に間に合わないときは編集自ら執筆したりする。先日発行した書籍はライターさんが諸事情あって書けなくなってしまい、私が50ページ分くらい書いた。編集者は書く人ではないので本来はこういったことは避けるべきなのだが、時間もなくどうしようもなかったのだ。
物作りではすべての人がなにかしらの締め切りに追われている。
先週夏休みをとったことで、すべての仕事のスケジュールが逼迫し、あかんことになっている。
結局この3連休もちょくちょく仕事をする羽目になってしまった。会社の制度上、夏休みを取らねばならなかったので仕方がなかったのだが、もうちょっと何とかならなかったかと後悔している。せめて夏休みを分割して申請するとかしておけばよかった。
編集者という職種になってから、前よりいっそう本を読むのが好きになった。
それから、本屋を散歩するのが好きになった。
棚を見れば見るほど、世の中にはいろいろな本があることを知れて新鮮だ。こんなの誰が買うのだろうと思うものでも、意外と刷数が重ねられていたりして、需要とはわからないものだと驚かされる。また逆に、まったく売れていなさそうな本は全体的に「売れてません」って雰囲気がして、やはり売れていなくて、それも面白い。
どうやって作ったのだろうかと首をひねるような構成やデザインの書籍も多い。そういう本は細かいこだわりから苦労を感じられて尊い。
これらの本のすべてに、制作にかかわった人々がいると知っているから、どの本にもぬくもりを感じられる。
本は木に実るものでも、泥から自然発生するものでもない。企画を思いつく人がいて、お金を管理する人がいて、書く人がいて、デザインする人がいて、イラストを描く人がいて(あるいは写真を撮る人がいて)、そして編集する人がいて、数ヶ月かけて完成するものだ。大変だけど、人間が作るからこそ面白いのだろう。
読んでくれる人がいるかぎり、本作りという仕事はなくならない。
誇り高い仕事ができて嬉しいな。
ときどき泣きそうになるけど。