蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

バルミューダによるパン革命

が家にバルミューダのトースターがやってきた。

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旧式のタイプで値下げされていた。

バルミューダのトースター(以下、バルミューダと呼ぶ)の評判は前から知っていた。妻が実家で愛用していたため、その逸話には枚挙にいとまがなかったのである。

おおよそ聞いていた実力は以下のようなところだ。

バルミューダで焼くことで……

・そこらへんで売ってる安い食パンがかなり美味しくなる

・菓子パン、惣菜パンも格段に美味しくなる

・モチなども焼ける

・グラタンも可能

・シックなデザインでインテリアとしても◎

・何度も言うが、食パンがめちゃくちゃ美味しくなる

妻の親戚から結婚のお祝い金をもらったので、それでバルミューダ購入に踏み切った。

 

注文からほどなくして届いた。箱から出したときに、まずその軽さに驚いた。トースターといえば堅牢なものだと了解していた私はこの瀟洒な見た目とちょっとした単行本くらいの重さに驚きを禁じえなかった。

機械のくせに。最近の機械は軽い傾向にある。こんなに軽いなら、どこでも持ち運べそうだ。友だちの家に泊まるときに持って行こうかしら。

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バルミューダには焼く前に5ccほどの水を注ぐ。

これがなにかしらの効果を生み、パンをふかふかサクサクにするらしい。

この小ささと、一種の儀式的な手間が愛おしい。

日常における「パンを焼く」というなんでもないことにも儀式のひと手間が加わることで、生活に質感が出るというものだ。

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焼きはじめると、チクタクチクタクと、勤勉にも時計の針のような音がする。

この音がすごく品がある。

引き出しの奥から出てきた、おじいさんの大事にしていた腕時計みたいだ。そのぜんまいを巻いて再び時を刻み出したら、きっとこんな音がするのだろう。精巧な歯車が秒針を動かす音がする。

バルミューダが来てから、私は毎朝、パンが焼けるまでの間、喧騒の中でも流れゆく穏やかな時間というものを楽しむようになった。

パンが温められ、すこしずつ焦げ目をつけていく。部屋中に香ばしい喜びがただよう。

焼き上がると、これまた愛しいことに、バルミューダは上品な音で「ぴーん、ぴーん」と鳴く。

その音を聞くと、なんだか、とてもよいホテルに泊まったときのような高級な気持ちになる。

音を聞く間、私は2DKの住まいから離れて、高級ホテルで朝を迎えている。

パンを食べるためというより、この音を聞くためにパンを焼いているといってもいいかもしれない。この音を聞けただけでも買った価値があった。

 

焼き上がったパンは、たしかにそこらの市販されている正方形のつまらない食パンとは思えないほど美味しくなっている。

外はサクサク、中はふわふわ、というありきたりな表現で申し訳ないが、事実そうなっている。

焼き方ひとつでこうも変わるのだ。

惣菜パンもこれで温めてやるとワンランク上の味になる。もはや魔法としか思えない。

パンとはこんなに素晴らしい食べ物だったのか。これまで私が食べていたパンはなんだったのだ。

私がDIOだったら、バルミューダで焼いた食パンの数は覚えていられるだろう(現状、4枚)。

 

バルミューダのおかげで朝が楽しみになった。

買ってよかった……。