蟻は今日も迷路を作って

くだくだ考えては出口のない迷路に陥っている

太った

った原因はいくつかある。

運動をまったくしていなかったし、食べたいものを食べたいときに食べていたし、毎晩酒を飲み気絶するように眠っていた。

なによりも、驕りがあった。

自分は太ることはないだろう、という驕りだ。

 

私は手足が細くて腰も細いので、着痩せするタイプだ。

人に「太ってしまって」と言うと嫌味か!とツッコまれるような見た目をしていて、お世辞にも太っているようには見えない(太っていることがお世辞になることはない)。

でも、本当は、お腹がタポタポになっていて、背中にもべっとりした肉がついていて、油断すると二重顎になってしまうのだ。

誰にも理解されない孤独。それは心の中に生まれる根強い孤独感だ。

いっそわかりやすく太ったほうが楽なのかもしれない。

でもそうなる前に痩せなければならない。

自分のだらしない腹を見るにつけてどんどん情けなくなっていく。いつの間に私はこんな人間になってしまったのだろう。頭の中にいる私はまだ14歳くらいで、快活で、聡明で、いい匂いがして、そして痩せている。

そのどれからもかけ離れた自分が、鏡の中にいる。

もはや痩せる云々の話ではないが、人生をやり直さないと快活にはならないし、同じ理由で聡明にはなりようがないし、いい匂いになるには草花に生まれ変わらねばならないのならば、ダイエットすれば叶えられる「痩せる」は最も実現性が高い理想だ。

私は決意した。

本物の男の決意だ。

 

ダイエットする。

 

腹筋を割ろうとは思わない。10代の頃のような姿になろうとも思わない。

ただ、自分が自分に恥ずかしくないようになる。

そうやって、生きる。