かなり前に買っておいて、本を開く勇気がなく放置していた『タコピーの原罪』をついに読んだ。
連載時にアプリで追っていたので、再読、ということになる。
連載当時は確か週の後半の更新で、大概は0時にアプリを開いて楽しみにしているマンガを読むのだけど、『タコピー』だけはしばらく時間を置いてから、夕方とかに読んでいた。寝る前に読むと憂鬱と衝撃に苛まれて眠れなくなりそうだったし、眠れたとしても夢見が悪そうだったから。
『タコピーの原罪』は短期連載だったのでコミックスも上下巻構成とコンパクトである。
とりあえず上巻を開き、ああ……あああ……と幾度も呟きながら、地獄さながらの展開を再読していく。ちょっと忘れていたので新鮮に読める。
このあと何が起こるのか、すべて知っている。最初に読んだときのトラウマじみた痛みを思い出して胸が苦しくなる。
コミックスでは幕間のおまけページが可愛らしく描かれていて、それでなんとか癒される。激辛カレーの付け合わせのラッシーか?おまけページでしか息継ぎができない。あとはずっと息を止めて読んでる。
上巻を読み終えて、とりあえず、溜めておいた『SPY×FAMILY』のアニメを見る。
無毒なものに逃げたかった。
こちらも同じくジャンプ+で大人気のマンガだ。
原作はセリフ運びも絵もカメラも演出もかなりレベルが高くて漫画のお手本のようだと思う。さまざまな表現に配慮されていて、けれども面白くて、毒がなくて、なんだかとても美味しい健康食を食べてるみたいな気分になる。
アニメもよくできてるから、ときどき見ては心を落ち着かせることに一役買っているのだ。
こちらの作品も原作をすべて読んでいるので先の展開はわかるし、絶対的な信頼があるので、心を乱さず安心して見ていられる。安心感で言うとサザエさんに匹敵するかもしれない。好みはどうであれ、世の中にはこういう作品も必要だ。
『SPY×FAMILY』を2話見終えて、クールダウンしたところで『タコピー』の下巻に戻った。
情緒がイカれそうだ。タコだけど。
サウナは暑いところから冷水に浸り、涼むことによって自律神経を「整え」て、快楽に浸るらしい。
それと同じ原理で、『タコピー』と『SPY×FAMILY』の対極に位置する情緒の反復により、自律神経が整っていく。
そんなわけがない。