前に使っていたhpのパソコンがいよいよダメになってきたので、買い替えることにした。
どうダメになったかというと、「J」と「F」と「1」「2」「3」「7」「8」「9」「0」、それからF10キーが動作しなくなったのだ。
気まぐれに、自分の使命を思い出したかのようにそれらのキーが動作することもあったが、そんなのは時の運のようなもので、大抵は押しても手応えのない木阿弥になってしまっていた。
修理に出せばいいのだけど、正直、5年以上使ってきて機械の寿命としては妥当な気がしていたし、好きなパソコンではなかったので、これを良い機会と捉え、買い替えることにした。
hpのパソコンには、もちろんWindows10が搭載されていた。
Windowsは優れたOSだし、物心がついた頃からWindowsXPに触れていたこともあって、使いやすいというか、実家のような安心感がある。
前職は情報サポートデスクをやっていたのもあり、Windowsの使い方には素人よりも精通した点があり、いろいろイジったりトラブルシューティングしたりするにはうってつけであった。
だが、ひとつ問題がある。
私はiPhoneユーザーなのだ。
WindowsとiOSには互換性がないので、iPhoneの写真データをWindowsのパソコンに移すには、メールで送るか、OneDriveにアップロードしてパソコンに取り込むか、iCloud for Windowsにアップロードするほかない。
また、スマホのメモ帳やスマホに登録したブックマークや、その他ファイルはWindowsに連携ができないので、なんとなく不便だな、とずっと感じていた。
WindowsにiCloudをインストールするのも馬鹿馬鹿しい話だ。
hpのパソコンを買ったのが、前職に入る前のコンピューターにまったく興味がなかった時代だったので、OSなんてものにも疎くて、互換性なんてどうでもよかったし、文字を打てればそのほかはどうだって良いとさえ考えていたのだが、前職で務めるうちにいろいろと知識をつけてきて、自分のスマホとコンピュータに互換性がないのがだんだんともどかしくなっていき、最近は写真の管理をしたりすることも増えてきて、ますます不便に思っていた。
砂漠を渡り歩くのにラクダがいないような不便さだ。あるいは、回転寿司の醤油が卓上にないかのようなもどかしさだ。
私は考えた。
Windowsを卒業すべきなのだろう。
買うか。Mac。
Appleのパソコン。
友達がMacbookを使っているので、使い心地を聞いてみた。
「いいよ。かなりね。なによりもiPhoneと連動する点が最高」
だそうだ。
「スタイリッシュで格好良いしね」
なるほど。
「GarageBandで作曲をしながら、バンドのライブのフライヤーをフォトショで作ることもできる。本当に優秀だよ」
そこまでのスペックは求めていないが。
友達に言わせると、マッキントッシュは「最高」ということらしい。
友達がそう言うなら、私はこれから、なにもWindows11の搭載されたパソコンに買い替えて、引き続き不便に思う必要もなかろう。
友達に聞くまでもなく、最初から肚は決まっていたのだが、これで確信できた。
私は、Macbook airを買うことにした。
(つづく)